ドクトル・ルチャの19○○ぼやき旅

【第639回】完売御礼

 スペル・ビエルネス…先週の金曜日の熱気はすごかった。平日にも関わらず『闘道館』には50人をオーバーするお客さんが集まった。な・な・なんと北は北海道の羽幌から、西は岡山の倉敷…全国からローリンマニアが大集結。記念すべき50回目の「ビバ・ラ・ルチャ」のスペシャル・ゲスト…メキシコの名マスク職人ローリン(ミゲル・アンヘル・アギラール)を招いてのトーク&マスク即売会は予想を遥に上回る大盛況でした。

満員御礼。マスクマニアの熱気に圧倒される。(撮影:シクロペ川岸 以下同)

 今年70になるローリンだが、さすが名門メキシコ国立自治大学(UNAM)の卒業生だけあって実に博学だし、記憶が良くて頭の回転も早い。話の組み立ても素晴らしい。品もいい。そして何より人懐っこい笑顔がいい。彼は日本と日本人が大好きだ。

「最初に観た日本人はミステル・コマ(駒厚秀)とヤマモト(星野勘太郎)。シバタやキタサワの試合も観たよ。実際に日本人に初めて接したのはジライヤ(磁雷矢=吉田普一郎)だった。彼のコスチュームやマスクを作ったのが最初だよ」。その後、ウルティモ・ドラゴン、サスケ、モモタロウ(スペル・デルフィン)、SATO(ディック東郷)ら、メキシコで試合をした数多くの日本人マスクマンがローリンにマスクを発注した。彼らはローリンの日本人に似た真面目な姿勢、そして彼の作るマスクの精巧さ、フィット感の良さに魅せられた。ローリンも多くの日本人に接して、生真面目な国民性を愛した。ローリンは選手だけでなく、マスク作りを目指す者、コレクターたちも同様に歓待してきた。彼はユニバーサル世代の日本人に最も愛されたマスカレーロ(マスク職人)といえよう。

ローリンはお孫さんたちを連れて登場。

 いつも土日の昼過ぎにやる私のイベントならば、3時間丸々トークするわけだが、今回は平日の夜。その後に第2部も控えているので、トークに充てられた時間は45~50分しかない。そのため用意していた質問から必要不可欠なものとマニアックなものを抜粋してローリンにぶつけた。実際、用意していた質問の4分の1しか聞くことが出来なかった。だから翌日、改めて2時間半かけてじっくりインタビューをしている。それは12月20日発売予定の『Gスピリッツvol.70』に掲載することにしたので、現場に来られた方、来られなかった方、楽しみにしてください。

トークではローリンスマイルが爆発。

 さて、今回のトークショーの中で、ローリンにドクトル・ルチャのマスクを作ってもらうための採寸の実演をしてもらった。「貴方のマスクはジャストフィットして素晴らしいと着用した者が口を揃えて言うので、私もそれを体感したいから、是非あなたの作った私のマスクを被りたい。人前で採寸するのに、もし企業秘密の部分があるなら、控室でやってもらっても構わないので」と前もって伝えると、「別にみんなの前でやっても構わないよ」と快諾してもらえた。そのためわざわざメヒコから採寸用の袋(仮縫いのマスク)と愛用のメジャーまで持参してくれた(ありがたや)。計る個所は3つ、私は袋の中で見えなかったけど、両目と耳の位置の確認をする。その間、お客さんの真剣な目がローリンの手先に集中していたものと思われる。現在使用しているマスクの原寸カラーコピーをお渡しし、希望のマスクの色と材質をローリンに伝えた。完成マスクの写真は『Gスピリッツvol.70』にローリンインタビュー内で公開したいと思う。完成品は来年の「ビバ・ラ・ルチャVol.51」(日時未定)で初着用したい。どんな被り心地なのか、今から楽しみである。

仕事となると目付が厳しくなる。

 さて即売会だが、ローリンがメヒコから持参したマスクは29枚。それらは2万5千円から4万円に分類され展示。それがトークの30分前に販売されて21枚が売れた。残ったのは8枚を第2部で改めてオークションにかけたら、完売してしまった(最終的には1枚プラスして計30枚)。ビバラで今までずっとセリの鑑定人をしていた私も、万単位のお金が飛び交う攻防に気合いが入る(それにしてもこれほど気持ちのいいセリはなかったなあ)。ローリンは自身のマスクを2枚、トリビア風のクイズでファンに提供してくれて、場内は大盛り上がり。ローリン自身が提案してくれたアイディアもなかなかのものでした。その上、撮影会に、サイン会…時差ボケもあっただろうけど、最後まで彼は頑張ってくれました。

即売会前。持参マスクが陳列される。
ローリンからのマスクプレゼントもあり。

 日本と、日本人が好きなローリンには、また日本に来てほしい。次は私が都内や近郊のいい所をご案内しましょう。今度またイベントをやるなら是非とも土日に…。今回とは違うマスクを持って来てくれれば、また完売間違いないし。事前に「誰々のマスクがあればほしい」という要望を受け付けるか、アンケートでも取るという手もあるね。マスクを手にして帰るお客さんたちの幸せそうな顔は、とても印象的でした。ともかく、今回はローリンさん、お疲れさまでした。あなたの笑顔とあなたの作ったマスクでみんなハッピーになれました。またお会いしましょう。

ローリンさん、また来てくださいね。

私の2023年の自主興行は、これで打ち止め。今年は1月にシークベルトで『第3回チャンピオンベルト・カーニバル』を、5月が小林邦昭&高杉正彦のビバラ、6月が新間寿vs少年探偵団の1対3のビバラ、7月に新崎人生のビバラ、10月がPWFベルトのCBカーニバルと、ローリンのビバラ…ちょっとオーバーペースだったかな。これらにご来場いただいた方たちには改めて厚く御礼申し上げます。そうそう、先日の『第4回チャンピオンベルト・カーニバル』に登場し、闘道館に今月いっぱい展示している2本のPWFヘビー級チャンピオンベルト。泉館長立ち合いで計量した結果、純金の2号ベルトは3894グラム、メッキの4号ベルトは2250グラムでした。倍まではいかないけど、1.6キロの違いがあった。同じ鋳型から作って、この差だから、いかに金が重いものかということである。

展示中のPWFベルトの重さは?

 来年の1発目のイベントは、恐らくだけど『第5回チャンピオンベルト・カーニバル』になりそう。ということは、そこではローリン製ドクド・ルチャのマスクはまだ登場しないということなのか…。

-ドクトル・ルチャの19○○ぼやき旅