ドクトル・ルチャの19○○ぼやき旅

【第572回】鰻マニア

 

 先週の土曜日、佐山さんにお会いした。タイガーマスクのマスク職人・中村之洋さんのセッティングによる「鰻を食べる会」でのこと。2019年に都内で2度、大阪で1度、中村氏主催企画で初代タイガーマスク×ドクトル・ルチャのトークショーが開催された。その都内の時は2回とも上野の鰻割烹『伊豆栄』別館で、うな重をご一緒している。『伊豆栄』は昔、竹内(宏介)さんによく連れて行ってもらった懐かしい店。宮内庁御用達だけにここの鰻は絶品です。あれから会うたびに「清水さん、鰻食べにいきましょう」、「佐山さん、鰻行きましょう」は、ず~と合言葉になっていた。その約束がコロナのためにずっと延び延びになり、さらにそこに私の妻の不幸も重なる。「少し気持ちが落ち着いたところで、清水さんを励ますためにも…」という趣旨で「うなぎを食べる会」が復活開催されたというわけ。

前回食べた上野「伊豆栄」のうな重。

 今回は東京ドームホテルで待ち合わせして、軽い昼食とお茶をしながら外が暗くなるまでずっとお喋りした。その後、タクシーで、いざ鰻屋さんへ。佐山さんが美味しいと言っていた神田の『菊川』へ行くのかと思いきや、鰻の大激戦区の浅草へ移動。予約されていたのは『やっこ』という名店で、佐山さんと馴染みの女将がお出迎えしてくれた。ここは寛永年間、第11代将軍徳川家斉の時代に創業した老舗。あの勝海舟やジョン万次郎も食したという名店で、夏目漱石の小説にも登場する老舗。我々はここの豪華フルコースを堪能することになる。

 私はこの数ヵ月、毎週末に息子と一緒に自宅の整理をしている。30数年間住んだ家には膨大な荷物が詰め込まれていて、片づけても、片づけてもゴールが見えない。どうしても処分できないのがアルバム類。片づけ中にアルバムを覗くと、いろんな思い出が蘇る。また時には意外なものが出て来る(随時、インスタグラムにあげます)。その中の1枚がこれ。佐山さんと妻のツーショット写真。撮影者は私なのだが、何処で撮ったものか全く憶えていない。モノクロフィルムで撮っているということは、仕事絡みの時なのだろう。恐らく旧UWF時代(85年頃)のパーティー等なのか…。その写真を佐山さんに見てもらう。

佐山さんと私の妻のツーショット。

 前にも書いたように、私の妻は新日本若手時代の佐山聡のファンだった。私が最初にメキシコに行く時に「いいなあ」と羨ましがっていた(でも先見の明あり)。だから佐山さんがタイガーマスクになって帰って来た時にガッカリしていたのを思い出す。ずっとマスクをしたままなら素顔が見られないし、素顔で会えないじゃないかと不満を漏らす。マスクを被って活躍する姿を見て喜んでいたタイガーマスクファンの人たちとそこが大きく違う。それから数年後、晴れて素顔になって堂々と一緒に写真が撮れる状況になった…だからこんな会心の笑顔をしているのだ。「そうなんだあ、そういう話を聞くと泣けてくるなあ」と佐山さん。今までいくらでも佐山さんと妻を会わせて一緒に食事できるチャンスがあったのに…と大反省(それも鰻だったら…)。そういう家族を前に前に出すようなことって、メキシコ人ならばするのに、しないのは日本人の良くないところだなあ(後悔先に立たず…)。

思い出に浸り、美味しい鰻を食べた後にはタイガーマスクとシン・ドクトルのツーショット撮影。私の新しいマスクを見た中村氏は「林さんの作品ですか。貴重なゴムラメだし、マスカラスのプエブラ製テースト満載で贅沢なマスクですね。プエブラでしっかりと修行された林さんならではの作品ですね」と唸りを上げる。お店の女将さんも「お馬さんが空を飛んでいるようでカッコいいですね」と、私の描いた馬の絵にも感心してくれた。シン・ドクトルマスクは大好評だった。するとお店に偶然、シュートボクシングの創始者シーザー武志さんが来られて佐山さんと旧交を温める。そう、パイサーノ(同郷人)…同じ山口県民だもんね。そう言えば、昔、シーザージムが白山にあった時によくゴング編集部に遊びに来られていたので、私も懐かしくご挨拶をさせていただいた。

新マスクで初代タイガーマスクと。

佐山さんはタクシーで浅草から綱島の家まで送って下さった(大感謝)。その車中もずっと日本の歴史の話をしていた。3時から夜10時まで…話した中身は妻の事以外では、ドローンの飛ばし方、山城の登り方や攻略法、それとディープな日本史のことだけ。私のマニアックな話を佐山さんは興味深げに聞き入ってくれるし、濃すぎる話に付いて来られるほどいろんな知識を持っている。「僕の場合は広く浅くですけどね」と謙遜するが、こんな博学なプロレスラーOBは恐らく佐山さんだけだろう。逆に佐山さんの日本武道史についてもマンツーマンの講義を受ける。私も周辺知識で必死に質問のジャブを入れる。結局、約7時間、プロレスの話は一切しなかった。「また鰻と勉強会しましょう」ということでお別れする。佐山さん、ご苦労さまでした。

処分する予定の板橋の自宅から終の棲家にする予定の綱島の実家へアルバム類は大量に移動させた。ザッと見た思い出の写真の中にゴング時代のものがいくつか出て来た。それを7月2日(土)にトークショーのゲストで来てくれる小林和朋くん(元週刊ゴング副編集長)にメールで送る。すると彼からもファンクラブ時代やゴング編集部時代の写真がいろいろ送られて来た。その中には解読に時間を要した貴重な写真もあった。我々のお宝のような時間…まさにサブタイトルにも掲げた「青春」。うん、これは面白そうなトークが出来そうだぞ。「闘道館」では先週からチケットを売り始めたそうだ。良い席はお早めに。

さて今週はダービーウィーク…1年で1番落ち着かない1週間が始まった。気がそぞろで、溜まったGスピリッツの原稿をこなせるか心配…。ダービーにはPOG指名の愛馬のキラーアビリティとジャスティンパレスが2頭出走するが、人気薄なので気が楽。でも、密かに大逆転を祈っています。2019年生まれのサラブレッド7397頭の頂点へ!ドクトルの2年連続ダービー制覇成るか。ということで、ではまた来週…。

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