先日、兄に誘われて久々にプロ野球を観に行った(20年ぶりか…)。東京ドームでの巨人vs横浜だった。少年時代は当たり前の巨人ファンでON砲の出る後楽園球場で観戦したけど、ONが監督を去ってからG党を卒業した。白金台から横浜の綱島に引っ越してから、それまで野球にまったく興味の無かった母が突然、横浜ベイスターズのファンになったので、自然とベイスターズを応援するようになった。ベイスターズが負けると母の機嫌が悪くなるからだ。だから、昨日も横浜を応援していた。私の席は通路側にあった。暫くすると兄が横で「おい、大魔神が来るぞ」と囁く。おお、通路を下から上がって来る大男。まさしく“大魔神”佐々木主浩ではないか!私は咄嗟に手を差し出すと、しっかり握手をしてくれた。分厚い大きな手だった。私も仕事上、多くの大男の手に触れてきたが、“大きい!”。直近ではスタン・ハンセンと握手したのに似た大きさと肉厚の手だった。感激!

ハマの大魔神がベイスターズからシアトル・マリナーズへ行った2000年からMLBを真剣に観るようになった。応援していたのは大魔神からイチロー…だからずっとマリナーズファンだった(2012年まで)。その後は暫く母と一緒にベイスターズファンをしていたが……。先日、AAAのドリアン・ロルダン(CEO)が来日した時に東京ドームの前で「トマスはヨミウリ・ジャイアンツのファンか?ハンシン・タイガースのファンか?」と突然聞いてきた。普通のメキシコ人からは出て来ない質問だ。「いや、去年までエンジェルスで、今年からロサンゼルス・ドジャースだ」と答えた。「オオッ、シヨウヘイ・オオタニだね。彼はスペル・スペル・エストレージャで、すごいホームランを打って超異常に稼いでいる」と大笑いしていた。「ショウヘイ・オオタニ」は万国共通語だった。そのなことを言って来るドリアンには現在、メキシカンリーグ(LMB)、ディアブロス・ロホス(レッドデビルズ)所属のトレバー・バウアー投手(前ベイスターズ、元ドジャース)の現地での人気や活躍ぶりなどを聞いておけばよかったなあ。

それにしても大谷さんのオールスター戦でのホームランと一昨日の特大30号はすごかった。ショウヘイ・オオタニは世界に誇れる日本の宝である。60年間野球を観て来てイチローはONを超えたと思った。そのイチローを超える日本人が出て来ようとは…ショウヘイ・オオタニは予想の範疇を超越した異星人…こういう世界の度肝を抜かすような規格外の怪物に生きているうちに出くわせるとは思ってもみなかった。スーパースターと言われる選手たちに「あの日本人は世界一だ!」と評価されることってすごいことだ。アメリカ人たちはショウヘイ・オオタニを空想の動物「ユニコーン」(一角獣)と称する。人の領域を超えているということなのだろう。ショウヘイ・オオタニ、ナオヤ“モンスター”イノウエ…この2人は、世界を黙らせた規格外の超絶日本人と言える(その次の候補はジュント・ナカタニかな)。

ショウヘイ・オオタニ以前の“世界のショウヘイ”といえばショウヘイ・ババ(ババ・ザ・ジャイアント)だろう。馬場は1961年7月から63年3月、同年10月から64年4月まで北米をサーキットして大成功し、莫大なギャラを手にした米プロレス界のメジャーリーガーだった。アメリカでもそうだが日本マットにおいても、「世界に通用する最初の日本人プロレスラー」はジャイアント馬場だった思う。デカさが武器だったことは言うまでもないし、あのサイズで運動神経がいい。あのリーチとヤツデのような掌でフルスイングのチョップを打ったり、大きく足を上げて蹴って来たり、飛び上がったりすることって異常である。取材する立場になって目の前にヌーッ立たれた時の圧迫感、視線の高さ、“ええっ、これが両足を上げて飛ぶのか!”と思うと、ゾッとした。

ところで新潟県民に大男が多いというのは知っていますか。バレーボールの河合俊一は青海町、俳優の渡辺謙は魚沼、おおっキラー・カーンは燕市…だね。新潟へ行くと大きい人がうろうろいるとか。学校にも大きい子がいっぱいいるって?本当にそうなのかなあ…全国平均だと上位だけど1位ではない。山形県、石川県、秋田県、富山県などの雪の多い東北、北陸は身長の高い人が多いようだ。大魔神も寒い仙台出身である。大谷選手は岩手県奥州市…元の水沢市で、雪が多い内陸の寒冷地だ。MLB公式発表では193センチ、95キロ…メジャーリーガーたちと並んでも大きく見える。昨夏まで前頭にいた北青鵬(宮城野)は204センチあった。彼はモンゴル生まれだが、5歳の時に札幌に移住していた(暴力行為で廃業)。

「ベルグマンの法則」というものがあって、恒温動物は同じ種でも寒冷地域に生息するものほど大きく、温暖な地の個体は小さいという法則だ。それは体温維持のため、気温が高い土地の動物は体表面積が小さくなり、寒い土地だと体表や体重が大きくなるというもの。日本でも西や南に行くと大男が少なくなるようだ。身長の全国平均の最下位は沖縄らしい。東北・北陸に長身が多いのは米や水だけで、魚介類が豊富なのと、朝食をしっかり摂る生活習慣が身についているからではないかという見解もあるようだ。そして睡眠時間の長さ。睡眠時間が一番長いのは青森県で8時間8分(その上、一番早起き)、次が秋田県…。ちなみに最短は東京都と神奈川県の7時間48分だという。大谷選手は10時間以上寝るらしい。寝る子はあんなに育つのか…。大谷選手自身がCMをし、愛用しているのと同じ西川のエアーSXというマットレスを私も使用している。確かに寝心地は極上だけど、さすがに10時間も寝るのは不可能だ。それと、もう縮まるだけで、背は伸びないけどね。