ドクトル・ルチャの19○○ぼやき旅

【第575回】ありがとう、ウルトラマン

 映画『シン・ウルトラマン』を観に行った。なかなか面白かった。CGばかりだけど、60半ばのオヤジをこれだけ興奮させたのだから合格だ。よく出来ていると感心した。ネロンガ、ガボラ、ザラブ星人、メフィラス星人、ゾフィー、ゼットン…登場する怪獣と宇宙人は現代風に多少変わったが、キャラクター自体と挿入されている擬音などは昔のまま維持されていたのが嬉しかった。特にメフィラス星人のキャラは最高だったね。我々60年代のリアルタイム世代に後ろ指を指されないような出来だったと思う。

須賀川で出会ったウルトラマン。

テレビの『ウルトラマン』は『ウルトラQ』の次作として1966年夏にスタートした(TBS毎週日曜日午後7時~)。私が小学校4年生の時のことなので、一番ハマった世代だったのではないかと思う。ちなみに私の好きな怪獣はレッドキング、ジラース、ドドンゴ、ケムラー、ペスラー、ウー、キーラ。好きな宇宙人はダダ、バルタン星人、ケムール人、ゼットン。嫌いな怪獣はゲスラ、キャンゴ、グビラ、ガマクジラ、スカイドン。ショックだった作品は「故郷は地球」(ジャミラ)と「禁じられた言葉」(メフィラス星人)かな。

夜に須賀川に出現したゼットン。

『ウルトラマン』の放送期間を日本プロレス史に当てはめると、東京プロレスが旗揚げするのか、まだかかよという時期に第1作「ウルトラ作戦第一号」(vsベムラー)がスタートし、最終回「さらばウルトラマン」は67年4月9日…。その2日前にアントニオ猪木が『第9回ワールドリーグ戦』の前夜祭に颯爽と復帰した。猪木がハヤタ隊員の生まれ変わりに思えたのは、私だけだろう。私のプロレスファン歴は『ウルトラマン』と入れ違いで始まったとも言えるかもしれない。それまでにもテレビでプロレス中継は観ていたけど、猪木登場から「プロレスファン1本で行こう」と決めた。それは大人への第一歩である。

だから同年10月1日放送開始の『ウルトラセブン』は観ていない。「もうウルトラシリーズは観ないから、22時20分からのプロレス中継の時もちゃんと見せてくれ」と両親と交渉し、約束を取り付けたように思う。『ウルトラセブン』の初回から5日後のプロレス中継はジャイアント馬場&吉村道明がビル・ワット&ターザン・タイラーに敗れて王座から転落したインター・タッグ選手権(福島県体育館)。セミで猪木がリッキー・ロメロに圧勝した。BI砲がベルトを奪還したのは3週間後のことである。特撮のウルトラセブン?なんかより、生の人間同士が戦う…プロレスに熱中するしかないぞという、BI黄金時代の始まりでした。

M78星雲から猪木隊員が戻って来た!?

それから12年後に私はメキシコでウルトラマンに会う。ルチャドールのウルトラマン(ミロ・ベントゥーラ)である。メキシコではアカプルコやベラクルスなどをサーキットした。

これが性格のいい、とても人物で、裏のない「正義の味方」と言って間違いない男だった。79年夏に初来日した際に再会して食事をした。割り勘にした(映画観た人だけにわかるネタ…)。その初来日の巡業の行く先々で引っ張りダコの人気者だったという。だってウルトラマンだもん仕方ないよね。でも、その姿に新日本関係者が嫉妬し、有らぬ濡れ衣を着せられイジメられて可哀想な思いをした(以下本人談)。それは何かというと、性病扱いをされたのだ。試合の後は選手たちがアルコール消毒をしたり言い渡され、本人は外出を制限され、ホテルの部屋に監禁され、ドア越しに食べ慣れないおにぎりを渡されたりもしたという。事実無根の彼を私はただ励ますしかなかった。

84年2月、ウルトラマンは招待していないのに、何処のアンテナに傍受されたのか、私の結婚式にも出席してくれた。式場のステージから満員の客席を見渡したら銀色に光るマスクを発見した時、「あっ、ウルトラマンだ!」と感激した。小4でウルトラマンを観てから18年…円谷製じゃないけど、私の大事に「シュワッ!」と現れてくれた正義のヒーロー。本当にいい奴…感謝しかない。ありがとう、ウルトラマン。

シーボーズになって怪獣墓場へ運ばれる私。

そういえば、昨年末、「没力道山58年」(59回忌)に列席した時のこと、お焼香の最後の頃にお墓の前がザワついた。何かと思ったら、ウルトラマンの中身の古谷敏さんでした。小4の少年に逆戻りした。力道山とウルトラマン…昭和の2大ヒーローのツーショットはなかなかのものでした。力道山の死から3年後に出現したウルトラマンは少年たちの救世主だったのかもしれない。

ウルトラマン(古谷敏さん)のツーシヨット。

 さて、再来週の水曜日はGスピリッツVol.64の発売日。今日、私も最後の校正を終えた。

あとは2週間後の発売日を待つだけ…。ということで、オフィシャルのコンテンツ発表直前に表紙を先行公開しよう。

 特集は創立50周年記念「“王道”全日本」。ここからは表紙を見ながら中身を想像してみてください。今回もウルトラな秀作ですよ。

-ドクトル・ルチャの19○○ぼやき旅