ドクトル・ルチャの19○○ぼやき旅

【第754回】あの日の記憶

3月末の九州の旅では桜が咲き始めで、帰京して家に閉じこもっているうちに満開が終わってしまった。旅ばかりしている私は、都内や近所で花見客がごった返す場所では満足できなくなっている。人が集まる桜の名所でも、都心よりも田舎の桜を観たいと思うようになってきた。

ということで、トマス観光は田舎の桜を観るために日帰りで信州へ行くことにした。それを実行するにはいくつか条件があった。平日であること、青天であること……これが絶対条件だ。それで決定したのが先週の水曜日(8日)。

近年、息子以外とはいつも一人旅をしてきた私は、今回最良のパートナーを指名した。高校の同級生で、尾瀬に一緒に行って以来の山友達。大学時代にはバイクで毎年のように北海道を旅しながら、大雪山、十勝岳、雌阿寒岳、羅臼岳、利尻山などを共に登り、苦楽を分かち合った永島クンだ。この旧友に声を掛けたのである。

永島クンは私が全国の山城を巡っていることも知っているので、一度どこかの山城に連れて行きたいと思っていた。彼は発掘の仕事もしていたので歴史にも詳しい。それで桜を観る前にひとつ低山に登ろうと、信州に1256あるといわれる城館の中から五指に入る松本市の桐原城を案内した。私は3回目の訪問……大好きな山城の一つである。

その前に、せっかくだから国宝・松本城にも寄る。晴天で、桜も満開、北アルプスも一望できて最高のコンディションだった。

旧友の永島クンと松本城にて。

そして桐原城へ。熊対策にはいつもの熊鈴に加え、昨秋に購入した新兵器「熊よけホーン」をデビューさせる。信州の山に「猟銃」「猛犬の吠える声」「爆竹」の3パターンが鳴り響いた。
「さあ、登るぞ!」

新兵器はなかなか優秀でした!

標高950m、比高190m……小一時間ゆっくり登り、長大な竪堀、石垣、連続堀切など素晴らしい遺構を楽しむ。彼との登山はゴングに入社する前、燧ヶ岳や田代山に登った1980年以来、実に46年ぶりのことだ。

歳を取ってもお互い元気で、まだ足が動くからこそ実現できた久しぶりの山登り。健康であることの幸せと、北海道の山々を踏破した思い出を噛みしめながらの山行だった。

桐原城の二郭虎口石垣をドローンで。

下山後は「なご味」という名店で美味しい信州そばを食べる。その後、松本市内の桜の名所・弘法山古墳へ向かう。ここは中山丘陵の先端部に3世紀末頃に築かれた前方後方墳で、比高は約60m。

眼下には松本平が広がり、北に安曇野、南に木曽谷の入口、そして背景には槍ヶ岳から白馬へと連なる北アルプスの大パノラマが展開する。そしてこの弘法山古墳を取り囲むように、4000本の桜がほぼ満開で咲き誇っていた。

これほどのロケーションだけに平日でも花見客は多かったが、都内ほどではない。桜の密度は圧倒的で、山全体が桜に包まれている。もし都内にこんな場所があれば、何万人も押しかけて大混乱になるだろう。やはり遠出してきて正解だった。

“トマス観光は外さないな”と自画自賛。今年の花見は忘れない。また来年もここに来たいと思った。

弘法山古墳の桜と北アルプスの絶景。

松本のプロレス史については以前にも何度か書いたので、ここでは触れない。それよりも今年最初のトークショーが決まったので報告したい。ゲストは初登場のザ・グレート・カブキさん。日にちは5月23日(土)だ。

VIVA LA LUCHAもついにVol.59となった。

『五大湖の神風になった!東洋の神秘が“ヨシノ・サト”と呼ばれた時代 カブキさんの青春PART1』

タイトルの通り、1970年9月に渡米し、ロサンゼルスからデトロイトへと渡った高千穂明久の初海外武者修行時代をメインテーマとする。

私は以前から感じていた。アメリカ時代の話をしている時のカブキさんが一番楽しそうだと。だから今回のトークショーでは、この時期にテーマを絞ることにした。

歳を取ると不思議なもので、「最近のことは忘れるが昔の話はいくらでも出てくる」。カブキさんにとって、希望に燃えて単身渡米した22歳の青春こそ、最も記憶が鮮明なはずだ。

実はこの時期、カブキさんは意外な選手と戦い、意外な人物と出会い、意外な場所で試合をして貴重な経験を積んでいる。その経験こそが、10年後のザ・グレート・カブキ誕生への第一歩となったのである。

お店が閉店し、カブキさんと直接話す機会が減ってしまったことを危惧して企画したトークショーでもある。この機会にぜひ会いに来てほしい。闘道館では本日より予約開始だ。

-ドクトル・ルチャの19○○ぼやき旅