パリ五輪を観ながら仕事をしている。かつてゴング編集部ではテレビがついている煩い状況で仕事をしていたから、どんな状況でも作業が出来る癖が出来ている。逆に静かな所で仕事をすると集中しすぎて時間を忘れてしまう。気づくとメシを食うのさえ忘れてしまう。編集とは食事が不規則で不健康な仕事だと思う。前回の東京オリンピックから面白いと思って注目しているのはスケボーとサーフィンかな。自分にはまったく無縁のスポーツだったから、それを器用にやる選手たちはリスペクトするしかない。パリと言いながら、サーフィンは南太平洋のフランス領ハイチで開催している。大自然相手のスポーツだけに波を選ぶ駆け引きなど興味深いし、ロケーションも美しくて良い。私のように「総合馬術 障害」をグリーンチャンネルの生中継で見ていた人は少ないのでは…。フランスでは人気の高いスポーツだ。古くからフランスの馬術は高度である。ナポレオンの愛馬マレンゴはエジプトから連れて来られた純血アラブ種で、足が速く、長距離移動にも強く、戦争の喧騒にも動じなかったという。日露戦争勝利の立役者である秋山好古はフランス留学で騎馬養成を学び、ロシアのコサック騎馬軍団を打ち破ったという歴史がある。私は1995年にパリへ行った時にシャンティでルイ4世アンリが建てさせた世界一美しいといわれる「大厩舎」へ行ってフランスの馬の歴史と文化の奥深さを学んだ。今回の五輪馬術の会場は広大なヴェルサイユ宮殿。クロスカントリー競技は宮殿内の庭園と森の中を走るロケーションが実に美しかった(皇居でこんなこと絶対にやらせてくれないよなあ。すごいぞフランス!)。そして馬術団体で日本は英仏に続く銅メダルを手にした。1932年ロサンゼルス五輪のバロン西(西竹一)の金メダル以来、馬術で実に92年ぶりに日本はメダルを手にした。戸本一真選手はJRA所属でフランス産馬に騎乗していた。チーム4人の平均年齢が41.5歳(自ら“初老ジャパン”と呼んでいるらしい)。あっぱれとしか言いようがない。
ついつい馬の話で夢中になってしまった…。それ以外、私個人の近況はといえば、クソ暑いので取材と買い物以外は外出しないようにしている。そうそう、8月15日出発予定だったルチャ・リブレ観戦ツアーは定員に達せず中止となった。『トリプレマニア32』が観られなかったのは大変残念だけど仕方ない。やはり円安が大きく影響しているようだ。主催者のメキシコ観光では9月にアニベルサリオ91の観戦ツアーを計画しているので、仕切り直しでメヒコへ行こう…。逆に円安を利用して再来日するのがローリンだ。現在、ローリンは工房で日本へ持って行くマスクを作成中。
メキシコでは日本と違ってパリ五輪がまったく盛り上がってないらしい。そりゃそうだろう、3年前の東京五輪では銅が4つのみだし、ロンドン五輪で金メダルのサッカーは予選落ちで不出場だもん…。30日現在、メキシコはアーチュリー女子の銅メダル一つだけ。少し期待できそうなのは競歩、高飛び込み、ボクシングあたりだろうか。ということでローリンは私と違って真面目…オリンピック中継を観ないでマスク作りに没頭してくれそうだ。楽しみにしていてください。